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不満の高まりが、食事療法よりも簡単そうな健康食品や民間療法への興味につながることもあるでしょう。 たしかに腹一杯食べた方が、力が入るような気がします。
ただし、あくまでも気がするだけです。 食べたカロリーは体に蓄えられ、食べていないときにもそこから少しずつエネルギーが供給されます。
多く食べようが、少なく食べようが、そのとき供給されるエネルギー量は同じなのです。 糖尿病食では、その人その人に応じて必要十分なカロリー量を計算しているので、通常足らなくなることはありません。
本当に足りないのであれば、体重が減るので分かります。 糖尿病食は、栄養バランスをくずすことなく必要最小限のカロリーを摂取できるという観点からすると、一般の人にも勧められる健康食といえるほどなのです。
どうしても力が入らないというのなら、その原因は食事量ではなく、血糖コントロールの不十分さにある可能性があります。 血糖のコントロールが悪いと空腹感が出やすいのです。

人が他人やときには自分を指して「太っている」というとき、はっきりした基準はありません。 極端に痩せているとか、力士のような体形をしているケースは別にして、多分に主観が入ります。
しかし、健康情報として肥満を考える場合、それでは話になりません。 医学的にいう肥満とは、体のなかで脂肪の占める割合(体脂肪率)が高い状態を指します。
最近は簡易な体脂肪計が売られていますから、一度自分の体脂肪率を測定してみるといいでしょう。 ただし、機器の測定方法や測定するときの状況によって数値に誤差が出るので、おおまかな目安と考えてく、ださい。
機器を使わずに計算で肥満かどうかを判断する方法もあります。 体重(k)を身長(m)の2乗で割ったBMIという数値がそれです。
統計的にはBMIが22であるときにもっとも死亡率が低くなるとされているため、日本肥満学会では、BMIが22になるような体重を標準体重にしています。 最近、日本肥満学会の定めた診断基準では、BMIが25以上の場合を肥満といいます。
BMIは身長と体重から割り出す目安なので、人によっては25未満であっても体脂肪率が高い場合もあります。 これを、ある研究者は減らした方がいいといっています。
肥満は糖尿病をはじめいろいろな生活習慣病を引き起こす原因のひとつとして注目されていますが、私はここで肥満を2つに分けて考えたいと思います。 病気としての肥満と美容上の肥満で、肥満学会で健康障害を伴いやすい肥満、つまり病気としての肥満を肥満症と呼び、たんに脂肪が多いだけの肥満と区別しています。
しかし、多くの民間療法やダイエット食品、エステなどではこの2つが混同されています。 医学的に治療が必要な肥満症は、生活習慣病の原因となる肥満、特に内臓の周囲に脂肪が蓄積される型の肥満です。
もちろん皮下脂肪型の肥満でも糖尿病を悪化させたり、膝の関節痛を悪くさせる場合は治療の対象になりますが、問題が大きいのは内臓タイプの方です。 BMIが25以上の人で、ウエストが男性で85cm以上、女性で90cm以上というのが、内臓脂肪型肥満の目安です。

これに対して美容上の肥満というのは、肥満が軽度で主に外見上の問題であるケースや、皮下脂肪の蓄積が主体で生活習慣病との関連があまりないような肥満です。 こういう肥満の場合、医師は積極的に治療しようとしません。
その必要がないからです。 若い女性には、医学的に治療の必要がない肥満でも、必要以上に痩せたいと思っている人が多いようです。
むしろこのような人たちがダイエット食品やエステのターゲットとなるのです。 美容整形外科以外の医師は美容上の肥満に興味を示さないため、かえって病気の肥満と美容上の肥満を結びつけるような非科学的な情報が氾濫するのです。
運動は意外にカロリーを消費しない「昨日は余分に食べたから、散歩をいつもより5分延長した」などという人がいます。 余分に摂ったカロリーを運動で消費してしまおうというわけです。
一見、理にかなっているようにみえます。 しかし、ご飯1杯分のカロリーを散歩などの軽い運動で消費しようと思えば、歩く速さやその人の体重によっても違いますが、1時間も歩かなければなりません。
自動車の燃費にたとえてガソリン量をカロリー、走行距離を運動量とみると、人間の体は思いのほか効率よくできているのです。 ダイエットの際の運動の目的は、直接的なカロリーの消費よりも、筋肉や骨など脂肪以外の組織を衰えさせないことと、脂肪を効率よく利用できるようにすることなのです。
痩せられる唯一の条件は「摂取エネルギー」です。 運動による消費エネルギーが想像以上に少ないのですから、摂取エネルギーの方を小さくしなければならないのは明らかです。
ごくあたりまえの原理ですが、ダイエットの広告には、この原理に反したものが多く見られます。 たとえば「寝ている聞に痩せる」などは、真っ先に疑うべきです。
また、特定の食品を推奨するダイエット法も同様です。 特定の食品を摂っていても、摂取カロリーが消費カロリーより少なくなければ痩せないという原理は変わりません。

かえって、特定の食品ばかり食べながら摂取カロリーも減らしてしまうことで、栄養バランスをくずしかねません。 数年前にアメリカである種のプロテインダイエットが流行し、極端なダイエットと不良プロテインのために何人もの死者が出たこともあるそうです。
痩せるための3大原則は、日の食事量を消費カロリーよりも減らす、栄養バランスを確保する、適度な運動で筋肉や骨など脂肪以外の組織を減らさない。 です。
この3つを無視したダイエットはあり得ません。 なぜ、部分痩せは不可能なのか。人間の体内の脂肪組織はエネルギーを蓄えておくところです。
人間が活動するときにまず使われるエネルギー源は糖質で、これは主として肝臓にグリコーゲンという形で蓄えられています。 運動に使うエネルギーの主役で、マラソン選手などは試合前にグリコーゲンを大量に蓄えるための特殊な食事方法をとることもあります。
しかし、グリコーゲンの蓄積には限界があり、比較的短時間で枯渇してしまいます。 グリコーゲンがなくなると、今度は脂肪がエネルギー源として使われます。
いよいよ脂肪の登場となるわけですが、使われる脂肪には順番があるようです。 内臓周囲の脂肪がまずエネルギーとして使われ、最後に皮下脂肪が使われるのです。
部分痩せが不可能なのはこれが理由です。 内臓周囲の脂肪が真っ先に分解されると決まっているのですから、足や顔などそれと関係のない部位の皮下脂肪など、ももうがたたこうがどうにもならないのです。
もんだりたたいたりして変化するのは血液やリンパ液の流れです。 仮に痩せたように見えたとしても、それはその部位の水分が移動した(むくみがとれた)だけのことなのです。
一度ダイエットに成功して痩せられでも、時間がたつにつれて元の状態に戻ってしまう人が多いようです。 あわてて再びダイエットに挑戦して体重を減らし、ほっとしてまた太る、こういう繰り返しを「ウエイトサイクリング」といい、最近は肥満の研究者の間で注目を集めています。

注目を集めている理由は、体重の増減を繰り返すことで、それまでのように体重が減りにくくなったり、脂肪のつき方が変わって体形が変化したり、病気のリスクが高まってしまうのではないかと考えられるようになったからです。

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